「お父さん、私さ、ずーっと頑張って来てさ、それなのに結果出なくて、考察で行き詰まってさ。でもさ、論文は良いの書きたくて、頑張ってさ、なのに全然上手くいかなくて」

 

「まるは、ずっとテストとかを受けていたから仕方ないのかもしれないけど、問題には正解がないことのほうが多いんだよ。『論文を書く』ことが正解かどうかなんて分からないんだよ」

 

 

 

かなり取り乱した状態だったから、記憶が細切れで、お父さんの言葉を全て拾えなかった。さっき思い出したのは「物事に正解がない」ということ。いま私が「正しい」と思っていることがすべてではない。

 

私は物事に正解がないと分かってきたつもりでいたけど、やっぱり「良い」「悪い」はあるよね、とも考えていた。

でも、それすら意味の無いことかもしれない。思いどおりにいくことなんて少なくて、「悪い」方向に否応なしに進んでいくことになるかもしれない。あとから振り返って、たぶん私は「勉強にはなったのかも」なんて意味づけをするだろう。何が起こったって、事実を受止めて対処していくしかない。「良い」「悪い」はたった今現在の私の思い込みでしかないのかもしれない。

逃げれば、「あそこで逃げてよかった」かもしれない、やり切っても「無駄なことに消耗して傷ついた」と思うかもしれない。なにが正しいかなんて分からない。だから「良い」も「悪い」も「正解」も「不正解」もない。

 

最適解を探しているつもりで、結局視野を狭めていただけだった。私は、私の判断で生きていくべきだと思うけど、行き過ぎも危険で、そのバランスをまだ知らないんだ。